ヒンデミットも生まれた時から交響曲やオペラが書けたわけではありません。
彼がどんな曲を作ってきたのか、作曲の変遷を追いかけます。今回は1回目です。
少年パウル・ヒンデミット氏は、9歳から始めたヴァイオリンが大変上手だったようで、13歳(1908年)の時、ドイツはフランクフルトのホッホ音楽院へ学費免除で入学されたそうです。入学当初はヴァイオリンで食っていくつもりだったのかもしれません。
ところが少年ヒンデミットは独学で作曲もしていたようで、とうとう1912年からはホッホ音楽院で作曲のレッスンを受けるようになります。師匠はアルノルト・メンデルスゾーン。アルノルトは、フェリクス・メンデルスゾーンの親戚だそうです。アルノルトが病床に伏した1913年からは、ベルンハルト・ゼクレスにつきます。
ゼクレスさんについたころから、少年ヒンデミットは作品番号をつけた曲を書きだします。作品1~9がゼクレスさんについていた時書いたもののようです。
作品番号 | 曲名 | 編成 | 作曲年 | 現存 |
作品1 | アンダンテとスケルツオ | cl,hn,pf | 1914 | × |
作品2 | 弦楽4重奏曲第1番 | vn2,va,vc | 1915 | ○ |
作品3 | チェロ協奏曲 | vc,orch | 1915-1916 | ○ |
作品4 | おどけたシンフォニエッタ | orch | 1916 | ○ |
作品5 | 面白い歌 アールガウの方言で | high v,pf | 1914-1916 | ○ |
作品6 | 7つのワルツ 4手のための | pf | 1916 | ○ |
作品7 | ピアノ5重奏曲 | vn2,va,vc,pf | 1917 | × |
作品8 | チェロとピアノのための3つの小品 | vc,pf | 1917 | ○ |
作品9 | 3つの歌 | S,orch | 1917 | ○ |
オーケストラ曲は作品3と作品9のみで、室内楽が目立つような気がします。自作自演とかしてたんでしょうか。それはおいといて、どんな曲か、ということです。私の予想ですが、これら曲を初めて聴いた人は、ヒンデミットの楽曲だとは思わないでしょう。聴いてみましょう。
ではこちら、作品8チェロ協奏曲のピアノ伴奏版の動画になります。
Hindemith - 3 pieces for cello and piano, Op. 8
2曲目だか2楽章のタイトルが Phantasiestück 、つまり「幻想曲」。聴いていただくとわかるのですが、転調がしつこいくらいされます。ロマン派ぽいです。
ではここでもう一曲。弦楽四重奏曲第一番です。
Paul Hindemith - String Quartet No. 1, I
これを聴くとフェリクス・メンデルスゾーンの弦楽八重奏曲を思い出します。メンデルスゾーンは16歳でこの名曲を作りましたが、ヒンデミットも二十歳そこそこでいい曲書いたなあと思います。
ちなみに、今回の情報源は、自分の論文からでございます。